こんにちは、白石店ウェア売り場の泉です。
大分タイムラグが出来てしまいましたが、6月の17・18日に北海道を飛び出し、
日本百名山の1つである谷川岳にてアルパインクライミングをしてきました!
山のお供は北大店登山売り場の双樹さんです。
谷川岳とは群馬と新潟の県境にある山で、
頂上はトマの耳・オキの耳という
2峰から成り立っています。
一番高いところで標高は1977mあります。
この谷川岳ですが、「世界一遭難者が多い山」
としてギネス記録を持っています。
理由は気象の荒さや、
クライマーの滑落事故が多かったから、
などと推測されていますが、
詳しくはご検索下さい。。。
魔の山として恐れられていたのも昔の話...
今は関東からアクセスしやすい事も相まって、
休日は登山道に行列が出来る日もある
大変人気の山です!
さて、今回私たちが登ったルートは
一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南陵。
アルパインクライミング入門として多くのクライマーに
登られているルートになります。
谷川岳の頂上に抜ける訳ではなく、お隣の一ノ倉岳に向けて登ります。
(谷川岳周辺は山脈となっていて、谷川連峰と呼ばれます。)
↓一ノ倉沢南陵のルート概要
◆黄色:アプローチ
◆ピンク:登攀箇所
◆青:一ノ倉岳頂上へのクライミング&薮漕ぎ&歩きの箇所
ルートは計7ピッチ
登攀終了地点から懸垂下降をして下山をする方が多いようですが、
今回は一ノ倉岳の頂上まで登った後
谷川岳まで稜線を歩く道を選びました!
※谷川岳の危険区域に入山する際は10日前までに登山届を出す必要があります。
これに反し入山、救助要請をした際は罰金等を科せられる為しっかりと準備が必要です。
詳しくは下記のサイトをご確認ください。
さて、旅の始まりは羽田空港からです。
東京出張に来ていた双樹さんと落ち合い、
レンタカーにて群馬県みなかみ町へと向かいます。
空港出発は23時半、お互い仕事終わりのため
徹夜状態ですがこれからの山行が楽しみで
アドレナリンマックスです!
羽田から谷川岳ベースプラザまでは約4時間で到着しました(休憩、買い出し含む)
駐車場にて支度をし、4:30に歩き始めます。
整備された遊歩道(むしろ道路)を歩きます。


一ノ倉沢の一つ手前、マチガ沢に着きました。
ここから少し歩くと・・・・・
ドドド
ドンッ
一ノ倉沢出合に到着です駐車場からは1時間程の道のりでした。
ここまでは一般観光の方も来れる場所となり、圧巻の谷川岳の岩場を眺める事が出来ます!


出合の看板には
立派なルート図が載っていました。
今回は、
R(中央陵テーブルリッジ)から取りつき、P(南陵テラス)に到着後、Ⅼ(烏帽子岩南陵)を登ります。
ここから岩の取りつきまでは雪渓の上を歩きます。
チェーンスパイク、ストック、登攀道具を装着し再度行動開始。

立派な雪渓です!雪渓崩壊後は高巻きする必要が出てくるため、
アプローチの時間に大分差が出るらしいです。
ガツガツと登ること20分、テールリッジと言われる
岩場のアプローチ開始地点に到着。
今回は取りつきの基部まで雪渓が残っていたので快適に移動出来ました!
チェーンスパイク等を仕舞い、登り始めます。


この地点でザイルはまだ出さないのですが、
不安になる傾斜や岩場が続きます。
気を抜かず、シューズのフリクションを効かせ
慎重に登ります。
結構怖いのでフィックスを利用します。
テールリッジの上部まで詰めた所にもう一つの入門ルートと言われる
一ノ倉沢衝立岩中央陵の支点があります。

ここから南陵の取りつきまではトラバース移動。

逆への字状に欠けている部分を目指します。
染み出しのせいで岩が濡れていてこのトラバースがかなり緊張しました!
斜面の中間ぐらいに綺麗な終了点がありましたが
それよりも上のルートを取りました。
懸垂下降用の支点かと思われます。

ここから斜面を横切ります。
一ノ倉沢出合から出発して3時間。。。
ついに、
今回のルートの取りつきに到着です!
(写真撮り忘れました!)
小休止をして気持ちを整え、
1ピッチ目を泉が登り始めます。

1P目の初めは階段状のフェイスを登り、残り半分はチムニーを上がります。
フェイス上部からチムニーの入口まで
右にトラバースする必要があり、
ロープの流れが悪くなりそうだったので
今回はフェイスを登り切ったところで一旦ピッチを切りました。
絶景です!
前日までの雨によりチムニーももれなく濡れていて苦労しました
(チムニー内に入る手前の壁がホールド全濡れで、A0してしまいました...。A0とはハーケン等にスリングを掛けて手がかりにする事です。乾いていれば細かめのホールドがあってA0する必要は無いと思います。)
3P目(ルート上の2P目)は双樹さん。
スラブ気味の壁を弱点を拾いながら登ります。

周囲は雪渓の崩れる轟音が響き渡ります。
その後もつるべ方式で交代でリード&フォローで登ります。
4P目 泉
草付き。ロープは出しますが簡単なためノープロテクションで上がりました。
ロープを素早く引くためセルフを確保した後
腰がらみでセカンドをビレイします。


こちらの支点の足場が広く安定していたため一旦休憩します。
双樹さんが寿司を持ってきていて驚きましたw
5P目 双樹
階段状になっていてホールドは豊富でしたが
とにかく濡れていて使えるホールドがありません笑
馬の背リッジの左下を通り、6ルンゼの手前に入っていきます。
5p終了点、6ルンゼ内
この終了点の5m下くらいにも終了点として支点がありました。どちらかが懸垂下降用のものかと思われます。これにより5P以降のピッチを切る箇所がよく分からなくなってきました。
周りはとにかく岩・壁・岩!
魔王の城みたいでかっちょいい!!
6P目 泉
6ルンゼ右側の壁を登り、馬の背リッジ上を登るルート。
リッジに上がると両脇が切り立っていて高度感マックスに!リッジ上は岩が乾いていてホールドが豊富なので
ガツガツと登っていきます。
7P目 双樹
最終ピッチです。
高度感抜群の吹き抜け状のチムニーを上がり、垂壁を登ります。

一ノ倉南陵ルートの核心と言われる最終ピッチの垂壁。
ここももれなく染み出しが酷く、グレードは確実に上がっていたと思います。
滑ったら落ちるという恐怖に支配される中
見事にリードで抜けた双樹さんに感服です。

(終了点から垂壁下部を眺める)
そして
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登攀開始から約4時間で
最終ピッチに到達!!!!

厳つい岩稜に囲まれ、圧巻の景色の中クライミングが出来て最高に気持ち良かったです!!
通常はここから懸垂をし、下山しますが
今回私たちは上を目指します。
(終了点の左脇には懸垂下降用の支点があります)

終了点からこれから行く先を眺める
クライミング後、ロープは一旦しまったのですが思ったよりも傾斜があり危険だったためやはり繋いだ状態で登ります。
50mロープいっぱいを2ピッチ切ったあとは一旦ロープを仕舞い、尾根をひたすら上を目指して登っていきます。
↑切り立ったリッジ

所々で岩盤が出てくる為ロープを再び出す場面もありました。
(危険個所には残置ハーケン、リングボルトも少しあります)
終了点から稜線までは約600mの標高差があります。
意外と長い道のりになるのに加え、
笹薮や岩場、リッジなど
複雑な要素が続くためかなり消耗します。。

終了点から登り続けること5時間、
最後に薮漕ぎを乗り越え、

ついに、国境稜線へ.....!!!
しかしここで終わりではありません。
稜線を谷川岳とは反対方向に少し歩く事数分、、、
ついに
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一ノ倉岳登頂
!!!!!!


なんと頂上に着くと、
雲が抜けて絶景が迎えてくれました!

谷川連峰、群馬・新潟・長野の山々が見渡せます
この先は谷川岳肩の小屋まで稜線歩きです。

夕暮れに染まっていく山々に
つい足が止まってしまいます。

時間が遅くなってしまったのでこの日は谷川岳の稜線にある肩の小屋に宿泊しました。本州の山はこういった稜線上に山小屋があるところが多いので、北海道民としては非常に羨ましいです

↑谷川岳肩の小屋
朝の7時から下り方向にロープウェイを使う人は私たち以外にはいませんでしたが、
すれ違う登りの便には人が沢山乗っていました!
~最後に一言~
【双樹】
気象条件の厳しい谷川岳
今回は雷予報に悩まされました。
しかし、出発ギリギリで予報がガラリと変わり、
結果雨に降られること無く
快適なクライミングを楽しめました!
【泉】
この日に向けて小樽赤岩のマルチピッチルートに通いアルパインに求められる支点構築技術や状況判断、ついでにエイド登攀などの特訓を積んできましたが、成果を存分に感じられる良い山行となりました。
他にも北岳や劔岳、錫杖岳や比叡山など行ってみたい所が沢山あるので、また北海道から遊びに行きたいと思います!