7月18日、19日で恵岱別川に沢登りに行ってきました。
恵岱別川は石狩川の支流で、
アイヌ語では「頭がずっと奥へ行っている川」という意味があるそうです。
入山口は北竜町の御料峠で、
そこから暑寒別岳まで沢登り(18km)
山頂から箸別コースを下山(8.5km)
デポしておいた自転車で御料峠までサイクリング(36km)
というのが今回の行程です。
登山開始は朝8時。
まずは1時間ほど林道を歩いてから入渓。
林道が崩落している箇所から沢へとおりますが、
これがかなり危ない・・・
金属のワイヤーが露出しているのでそれも手がかりにして下りますが
、迂闊に揺らすと落石を誘発してしまいます。
安全地帯に退避しながら一人一人下りましたが、
もうちょっと手前側の斜面にルートを探しても良かったかも。
なにはともあれ無事に河原に着地し、1時間ほどの歩きで景勝地「三段の滝」に到着です。下からは2段目までしか見えません。落差は約50m。 周辺は崖で囲まれていて轟音が響き渡ります。この滝は直登できないので、右岸を高巻きします。滑落しそうな急斜面をすこしでも安全な地形を繋ぎながら約70mの標高差を稼ぎます。
猛烈な根曲り竹の藪を漕いで、滝の上流側へ懸垂下降。
この高巻きにかかった時間はおよそ1時間。上手く滝の落ち口近くに出られたので、滝を上から覗きに行って見ました。
下からは見えなかった3段目、ここだけならなんとか登れそうですが水量が凄まじいです。
無事に三段の滝をクリアーして一安心して先に進みます。何度も渡渉を繰り返し、腰まで水に浸かりながら進みます
この川は透明度が素晴らしく遠くまで透き通って見えるので歩いていて気持ちよかったです。ただし最近の高温・小雨の影響もあるのかヌメった石が多いので、フェルトソールの沢靴が相性良いと思います。
水中はこの透明度!!標高550mで現れた小さな滝、これが意外と曲者でした。
写真の青い矢印がメインの流れ。赤い矢印はそこに引き込まれる流れです。
赤い矢印沿いに泳ぎ水流の脇を登ろうとしましたがツルツルで登れず、諦めて戻ろうとしても赤い矢印の流れが意外に強く戻れません・・
結局フローティングロープに引っ張られ回収されましたが、もしロープが無かったなら本流に身を投じるしかないところでした。
陸上に戻った時には身体は冷え切りガクガクブルブル。
結局、ここも右岸を巻いて越えました。
この日は17時30分頃まで行動し、標高620 mの河原でツェルト泊。
愛用のファイントラックツェルト2 ロング
立木にフィックスロープをピンピンに張り、そこにプルージックでツェルトを固定します。夜は焚き火で服をしっかり乾かします。
沢登りでは、荷物の軽量化が最優先。
焚き火で乾かした服+防寒着でシュラフカバーに潜り込んで寝ました。2日目は5時50分に行動開始。
暑寒別岳山頂まで6.6km、標高差は870m。まだまだ先は長いです。しかし、スカッと晴れて最高の天気。
こんな日は、水の中が気持ちいい!!
標高880mで現れる滝。この滝は登れそうですが、その奥には巨大な連瀑が控えています。ここからまとめて右岸を巻いて全ての滝をクリアーすることに。巻き始めは滑落しそうな草付き急斜面をチェーンスパイクととバイルを効かせながら登ります。(必死なので写真無し)
ようやく藪の中に入ると一安心。目標の滝との位置関係を確かめながら藪を漕いで行きます。
途中からは完全に尾根の上に出ます。
遠くの木に目標を定め、そこへ向けて藪の薄いところを繋いで行きます。上がりすぎた分の下降は沢地形を使って快適に。
最後、下が見えないところは安全を取って懸垂下降。ここは1人目を先にロワーダウンで下ろし、それから2人目が懸垂をするやり方で。
最低限のロープしか伸ばさないで良いので時間短縮になります。
高巻きを開始してから、沢床にもどるまででおよそ3時間かかりました。
いよいよ核心部の滝は全てクリアーして標高1000mを超えると山頂付近までを見通せるようになります。
さあ、最後はどこを通って行こうかなと相談。「やっぱり左かな・・・」と話していたら、
巨大な熊が左の藪の中に走っていくのが見えました。(次の写真の赤矢印が熊の走っていったライン)
右にルート変更も考えましたが、実は下の方からはもう一頭の熊が右の方にいるのが見えていました。
右の熊はどう動くか分からないけど、左の熊は積極的に距離を取ってくれている。
という訳で左ラインに決定。
声をかけながら、熊の反応を伺いつつ進みます。最後は急斜面を藪漕ぎして1290mで登山道に合流。
振り返ると、先ほどの熊が草地で食事をしているの見えます。道を譲ってくれた事に感謝しつつ、藪で覆われた登山道を進み、15時にようやく
暑寒別岳登頂!!山頂からは快適な登山道。右手の草地の下に一頭いる熊の気配に注意を払いながら進みます。
黄色いお花畑をみるともう夏も深まったなぁと感じます。ピンクのふさふさが綺麗なタカナデシコ
満開のチシマギキョウダケカンバの森の中を歩いて
17時30分に箸別小屋に到着!!
ここからはデポしておいた自転車で車まで帰ります。
爽快な日本海へのダウンヒル!!
19時ちょうど、日本海へ沈む夕陽。暗闇の中、ここから20kmの上り坂をのぼりゴールとなりました。
スタートから山頂まで18時間40分夏道下山2時間30分サイクリング2時間30分(それぞれ、休憩を含む行動時間)
恵岱別川は長い河原歩きと高巻きをどれだけスムーズに抜けられるかが勝負どころ。
滝の登攀よりも高巻きの草付きに緊張する沢でした。
暑寒別の山の大きさを身体で味わい、どっぷり山に浸かった2日間でした。
北大店 双樹 白石店 泉