カヌーカヤックを保管する倉庫、「艇庫(ていこ)」
初めて聞いたときに「常用語じゃねえよ!」と思ってから1年が経ちました。
秀岳荘白石店の駐車場ある艇庫内のカヤックを、自由に乗り回せるのは福利厚生のひとつです。
全部のフネに乗ってやると息巻いたものの、気に入ったモデルばかりに乗ってしまい制覇ならず、白石店カヌー売場加藤です。
最近のマイブームSUPを押し込み、
ファルトボート(組立式カヤック)では初めての川下りに選んだのは
鵡川。
比較的穏やかな川で、瀬や危険ヶ所が少なめ、ポーテージの必要な堰堤があり、スタートゴールをバスで繋げる区間です。
結果的に「川下り初心者にも勧められるソロ1泊で下りたい区画」でした。
今回の行程は
1.河口に車を停める
2.鵡川厚生病院前(バス停)まで約1km歩く
3.バスで穂別出張所前(バス停)にいく(200円/1時間10分)
4.穂別出張所から川まで約700m歩く
5.河原で1泊して川を下る
6.河口右岸でゴールから車まで約1km歩く
というプラン。
このコースの面白いところは
・キャンプ道具とカヤックを担いで歩く距離が、1km+700m+1km=約2.4kmあるのがちょっと大変なんだけど、ファルトらしくて面白い。
・札幌から向かうと苫小牧経由の河口デポで、スタート地に車で寄ることがなく、ゴール→スタートはバスなので運転距離が短いこと。
・一般的なカヤッカーが避ける堰堤が2個あってフル積載ポーテージを2回もできること。
辺りが魅力的なコースでしょう。
面倒で少し大変ですが、このコースを下れるなら行ける川の選択肢が一気に増えるはず、な意味でも面白いコース。
では下っていきましょー!
鵡川厚生病院の前にあるバス停。
道南バスの穂別鵡川線はここが始発で、朝2便、夜2便の1日4便が走っています。
朝7時29分の始発を狙っていきました。
ファルトのバッグ+25Lバッグ+39Lバッグの約35kg装備でスペースを使うので、バスに乗る人が少なくて助かりました。
驚いたのは始発の厚生病院前から、終点の穂別出張所までの約40kmを走ってくれて、たった200円なこと。
穂別出張所から少し歩いた穂別橋の上流右岸にある河原で組み立てる。
1人でも2人でも乗れて、ファルトの中でも比較的軽量な19kgは背負ってバスに乗れる旅向きモデル。
今年何度もやったので20分弱で組み立てられるようになりました。
右岸は護岸されてて組み立てやすいものの、出艇がしにくいので、左岸まで漕いでパッキングしました。
13Lのドライバッグをスターンの奥に突っ込んで、39LのダッフルとZライトソルははみ出ました。
リバー系パドラー的には小さく細長いブレードと長いシャフトがしっくりこないものの、浮力のあるフォームコア入りブレードは漕ぎやすいです。
フルカーボン+ベント+フォームコアのおかげか、数時間漕いだあとも疲労が少なく感じました。
キレイな印象が全くないいつもの鵡川カラー。
水位は結構少なめですが、底を擦るシーンは少なく快適。
スタートから豊田橋までは瀬がぼちぼちありました。
沈する規模ではないものの、水量が多かったり、慣れてないとドキドキかも。
日ごろ直進性が低く、操作性の良いカヤックばかり乗ってるのでファルトの直進性の高さにパドリングが楽しくなってしまいます。
ただ回転性が悪いので、やはり鵡川くらい広い川が安心です。
川下りでは、位置を特定しやすい橋をチェックしておくと楽しいです。
合わせて川下りでは紙の地図があると楽しさが増します。
おそらく鵡川は暴れ川。
増水の影響が大きいだろうことは随所から見て取れます。
「こんな木が!?」という大木が水中に多く沈んでいました。
枝も落ちて引っかかりにくい状態ですが、貼り付けられるリスクもあり、出来るだけ事前に見つけて回避するコース取りが大事です。
紅葉はほぼ終わりましたが、今の季節は秋なのか、冬なのか。
日が短いこの時期、早めに宿泊地を見つけておくのが吉。
鵡川は広い河原、豊富な薪で宿泊地には困らない川旅に最適です。
十勝川で残したペーストを使って、佐々木大輔氏リスペクトなスープカレーinベーコン。
寒くて朝起きたら世界が凍り付いてました。
乗ることを考えると、逆さまにしておくのがいいんだろうなを学びました。
2日目。
日の出が遅く、半分凍ったままの出艇。凍ったシートでお尻が冷たかった。
二日目は風も無くて穏やか。
旭生橋が見えたらその先にはすぐ頭首工。
2回あるポーテージの1回目、川東頭首工。
水量次第ではバウラインを持ってライニングダウンも出来そうですが、落差と突起のある堰堤でポーテージが確実。
右岸の堰堤上を歩くのが楽でした。
下流側はブロックで危険。
果敢にも人工物エリアを攻めるZライトソル(固定し忘れ、下流で拾いました)。
青空、ベタ凪、カヤック、平和。圧倒的に平和。
こんなカヤックがしたいが詰まってます。
すぐに2つ目の川西頭首工。
こちらは左岸ポーテージ。
似た堰堤で、こちらは下のブロック帯がやっかい。
川西頭首工の下にはたくさんの鮭が遡上できずに溜まっていました。
水量次第では通れそうな魚道はあるものの、多くの遡上を遮る頭首工の存在はまさにムッカペッ(ふさがる川)。
オオワシ。
カラスに奪われながらシャケを食べてました。
新春日大橋。
こんな下流なのに大きな岩が特徴的です。
手前のアーチ橋が
鵡川橋、被って奥にあるのが
鵡川大橋。
元々上下線で使われてた2つの橋ですが、胆振東部地震のときに鵡川橋が損傷し、鵡川大橋を両側通行で使っているようです。
鵡川橋はこのまま撤去されるようで、悲しいかな地震の大きさを改めて感じます。
橋を越えた先の右岸側に、鵡川ししゃもふ化場がありました。
2022年に新設されたばかりで、最終的には年間1億匹の稚魚放流、18トンの漁獲量を目指しているという。ししゃもの町、鵡川。
ししゃもといえば、世界中でも北海道の太平洋沿岸の一部地域でしか取れない魚で、普段スーパーに並ぶのはカラフトシシャモ(カペリン)です。
近年漁獲量も減ってしまっているようで、期待したい次第。
ちなみに一般的には鵡川大橋の左岸が河原まで車が入れるゴール適地。
JRの廃線で使われなくなった橋。
いまは鳥たちの住処。
橋を越えたら波の打ち寄せる河口が見えます。
河口でゴール!
1泊2日、約40km程度の、のんびりコースでした。
初めてのファルトボートでの川下りには最適で、ファルトの練習、可能性を知れる川になりました。
難易度も比較的低めで、ファルトで川下りを練習したい人にはおすすめできます。
またソロでバスを使って1泊しながらのダウンリバーにも最適なエントリーコースと言えます。
おっとゴールはもう少し先でした。
河口から右岸に移動し、ファルトを担いで林道1kmを歩いてからが本当のゴール。
肩は痛いし、ドーリーを使うか、畳んで背負っていくのが正解でしたね。
[鵡川水位]